第107回全国高等学校野球選手権大会 群馬大会 高崎―前橋

第107回全国高等学校野球選手権大会 群馬大会 3回戦 前橋対高崎(高崎市城南野球場)
Team 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10   R H E
前橋 1 0 0 3 0 0 0 0 0 4   8 15 3
高崎 1 1 1 0 0 0 1 0 0 5x   9 13 1
投手
前橋:井野、角田、村上
高崎: 黒田、藤巻、宮石
本塁打:
審判:

群馬県の伝統校同士の対決。OBとしてこの対決を見ないわけにはいかない。暑さに負けずに観戦してきました。試合開始は11時55分くらい。これから一日のうちで最も気温が高い時間帯に入ります。球場まで歩いただけで汗だくで、スタンド下で試合開始を待っている間も汗が止まりません。城南球場に来るのはいつ以来だろう? かなり久しぶりの感覚でした。球場に入る前、陸上競技場があった場所が駐車場になっていることに気づきました。

両校の応援団をはじめ、スタンドは最初から定期戦(両校の間で毎年行われるスポーツの対抗戦)並の盛り上がり方です。

城南球場は何年ぶりだろう? スコアボードがLED化されていて視認性が向上していました
試合開始前の「礼」。選手がベンチ前から走って整列するところは、高校野球の好きな瞬間のひとつです。

1回表、2死走者無しから死球で出塁した走者の臨時代走(頭に死球のため)が盗塁。タイムリーヒットが出て前高が先制。その裏、高高は先頭の小黒がライトオーバーの三塁打。強い当たりではなかったもののいきなり同点のチャンス。四球で一、三塁になった場面で3番広沢のセカンドゴロの間に小黒が生還、同点。4番黛の三振の間に盗塁でチャンスを広げるが勝ち越しには至らず。

2回表、前高は無得点。その裏の高高はヒット、バントで1死二塁。谷口のサードゴロが悪送球を誘って二塁走者が生還。高高が勝ち越し。

3回表、前高は四球2つでチャンスを作るが無得点。その裏の高高は無死一、三塁のチャンスを作る。4番黛がショートゴロで併殺打となるが三塁走者が生還して高高が追加点。

前高は2死走者無しから強い。4回表、2死走者無しからヒット、二塁打で二、三塁のチャンス。ここで次打者が三塁打を放ち2者生還で同点。さらに中野のタイムリーヒットで前高が勝ち越し。一転ビハインドとなった高高は先頭打者がヒットで塁に出るが、後続が打ち取られて無得点。

5回、6回は双方が譲らず無得点。前高が1点リードで試合は終盤へ。

7回表、前高は走者2人を出してチャンスを作るが、サードゴロで無得点。後がなくなってきた雰囲気の高高の攻撃。1死から小黒がヒットで出塁するが盗塁失敗。2死となってこの回はこのまま終わるかと思ったところで植松が四球で出塁。この出塁が大きかった。広沢のタイムリー二塁打で一塁から植松が生還。高高が同点に。広沢は二塁に到達後、足が攣ったようで担架で運ばれ、試合は一時中断。中断はこの試合2回目。再開後、高高は勝ち越しのチャンスだったが黛が打ち取られて同点止まり。どうも4番の黛で打線が止まってしまっている。

8回表、同点にされた前高の攻撃。高高は前の回に投手に代打を出したため藤巻に交代。藤巻はリズムよく3人で打ち取る。守備のリズムを攻撃につなげたい高高だったが、この回からマウンドに上がった村上に3人で打ち取られる。

9回表も藤巻の好投が続き、2人をあっさりと打ち取る。しかし2死走者無しから打ち取った当たりのショートゴロがヒットになる不運。この試合、2死走者無しから得点をあげている前高だったが、ここは後続が凡退して無得点。

流れが高高に傾いた9回裏、先頭の谷口がヒットで出塁。坂下のバントが内野安打となって無死一、二塁。高高がサヨナラのチャンス。「イケイケ高崎」の大合唱のなか、牽制球がセンターにそれて二塁走者が三塁へ。前高は申告敬遠を選択して無死満塁。前進守備を敷く前高の前に植松の打球は正面の投手ゴロ。1-2-3の併殺打となって2死二、三塁。三塁に進んだところで、こうなる予感はしました。ここで投手の藤巻に打順が回り、代打を送るが見逃し三振で無得点。高高はサヨナラならず。

10回表、延長戦はタイブレーク方式で無死一、二塁から始まります。試合の流れは一気に前高に傾いた気がします。高高の投手はアンダーハンドの宮石。先頭打者がバントを試みるが三塁アウトで1アウト。このまま流れを断ち切りたいところだったが、宮石のアンダーハンドのボールが前高打線に捉えられ、ヒットで満塁、ヒットで2者生還、ヒットで1者生還、さらにヒットで1者生還で都合4連打で4得点。9回のチャンスで打ち取られた高高とタイブレークで大量得点の前高。これで勝負あったかと思いました。さらに続く前高のチャンスで牽制球でアウトを取り、後続を断ちました。この牽制アウトがもしかしたら勝敗に結びついたかもしれないと後から思っています。

タイブレークで走者がいる場面から始まるとはいえ、4点ビハインドはかなり厳しい。筆者も負けを覚悟した10回裏の高高。打順の遠い選手が走者として無死一、二塁にするところですが、二塁走者に入るはずの植松が治療のため試合が中断。この中断で少し流れが変わったかもしれません。植松に代走が起用されて試合再開。打順はここまでいいところが無かった4番の黛から。黛の打球はレフト前に抜ける会心の当たり。二塁走者が生還して3点差。大事な場面で力を発揮しました。続く塩谷もレフトへタイムリーで2点差。なおも無死一、二塁。ここで代打を起用するが三振で1アウト。この試合の隠れたキーマンだった大畠は四球で満塁。打席は谷口。三塁正面に強い当たりを放ち、サードが後逸する間に二塁走者が生還して1点差。さらに三塁へ走る一塁走者をアウトにしようとした送球が悪送球となって、この間に一塁走者も生還して同点。勢いが高高に戻りました。そして球場の雰囲気は「ホーム」の高高に偏ります。もし球場が高崎でなかったこうならなかったかもしれません。1死一、三塁で坂下の打席、ピッチャーゴロに打ち取られるが併殺にはならず、2死一、三塁。打席は1番の小黒。この試合のラッキーボーイといえるでしょう。小黒の当たりは一塁手の頭を超えてフェアグラウンドにポトリと落ちるタイムリーヒット。三塁走者が生還して高高がサヨナラ勝利。

試合終了後の「礼」。死闘の跡が残るスコアボードとともに。試合中の写真がありませんが、試合にのめり込んでいて写真なんか撮っている場合ではなかったのです。
そして校歌を斉唱。すばらしい試合をありがとう!

高高がタイブレークに及ぶ死闘を制してベスト8進出を決めました。猛暑のなか、何度も試合が中断するこの試合。言葉通りに死闘と言って過言ではないと思います。そしてこの死闘になったのもこの対戦ならではでしょう。それほどの好試合、好勝負だったと思います。試合終了直後、前高の投手村上をはじめ何人かの選手が地面にうずくまって、動けなくなってしまいました。一度は勝ったと思ったであろうこの試合、気持ちは本当によくわかります。贔屓のチームが勝ったにもかかわらず、その姿を見て涙が出てくるほどでした。人生はこれで終わりではないし、平均寿命でもあと60年は続きます。この試合には負けたかもしれないけれど人生の敗者ではありません。これだけの死闘を演じてくれた両校の選手たちに心から拍手を送りたいと思いました。本当に素晴らしい試合をありがとう。